Smiley face

 2018年10月3日午後2時過ぎ。外回りの仕事の休憩中、女性(32)=東京都練馬区=の携帯電話が鳴った。6カ月の息子、勇磨くんを預けている認可外保育施設からだった。

 「勇磨くんが今から救急車で運ばれます。早く来て」

 電話口の女性職員の声は焦っていた。救急隊員からも電話があり、搬送先の病院名を告げられた。

 「いったい、どういう状態なんですか?」。戸惑いながら尋ねると、隊員は言った。

 「心臓が動いていません」

3月生まれ、認可保育園に入れなかった

 勇磨くんは18年3月に、夫(46)との間に生まれた第2子。出生時の体重は3678グラム。よく笑い、よく動き、母乳やミルクをよく飲んだ。夜泣きは驚くほどなかった。

 女性は勇磨くんの妊娠・出産に伴い離職していたが、8月から新たな仕事を始めていた。

 大学時代に借りた奨学金の毎月の返済が重荷になっていて、共働きに戻らざるを得なかった。多忙の夫は、始発列車で出勤して終電で帰ることも珍しくない。地方や海外への出張も多かった。仕事を再開するには、どこかに勇磨くんを預けるしかなかった。

 認可保育園に入れたかったが、3月に誕生したため、比較的入りやすいとされる年度初めの4月の入園は、日が浅すぎて申し込み自体ができなかった。年度途中に入園できる可能性は低く、実際に申し込んだが落選した。翌年4月の入園を狙うしかなかった。

 その間の「つなぎ」として頼ったのが、練馬区内にあった認可外保育施設「若草ベビールーム」だった。

「いつでも預かってもらえる」と紹介されたが

 以前勤務していた職場の近くにあり、「いつでも預かってもらえる」と、職場で紹介された。3階建て住宅の1階にあり、施設長の70代女性と2人ほどのスタッフで運営されていた。

 勇磨くんの2歳上の長女が生まれた際、最初に預けたのがこの施設だった。

 17年3月までの約9カ月間利用したが、大きなトラブルはなかった。ただ、17年4月に認可保育園に転園すると、驚きの連続だった。

 若草ベビールームでは、玄関…

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